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Flash Technique Institute Japan

日本でフラッシュテクニックの専門家向け公式トレーニングを主催する唯一の公認団体

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研究論文集

ここには、フラッシュ・テクニックに関する論文の要約を載せています。英語のサイトから許可をもらって翻訳し転載しました。


  • フラッシュテクニックの受容性、安全性および有効性に関する予備的研究.
    Manfield P., Taylor G., Dornbush E., Engel L., and Greenwald R. (2024). Preliminary evidence for the acceptability, safety, and efficacy of the flash technique. Front. Psychiatry 14:1273704. doi: 10.3389/fpsyt.2023.1273704M

目的:フラッシュテクニック(Flash Technique: FT)とは、治療中の主観的苦痛を最低限に抑えつつ、苦痛を伴う記憶やイメージを迅速に低減させる手法である。本研究は、FTの受容性、安全性および有効性を検証することを目的とし、調査研究を報告する。対象となる研究は、FTトレーニング内で実施された4件で、2件は米国、1件はオーストラリア、更なる1件はウガンダで実施された。
方法:いずれの研究も、15分間のFT介入の効果を検討するために、介入前後および追跡調査を含む反復測定デザインを採用した。総計654名の参加者は、不快な記憶を想起するように指示されたうえで、構造化されたFTの体験に参加した。調査の目的は、FTの短時間の実施が、安全であり、かつ参加者の苦痛を優位に減少させる事が出来るかどうかを検証する事であった。各研究では、参加者は、苦痛を伴う記憶を0-10の尺度(「0:全く不快でない」から「10:想像し得る最大の不快」)で自己評価した。その後、参加者は個別支援を伴わない形で、集団内で、自己実施型のFTを実施するよう指導を受けた。

結果:全ての研究において、不快感スコアの平均減少は三分の二を上回り、統計的に有意な低下(p < 0.001)が確認され、効果量は極めて大きかった。654名による合計813セッションのうち、わずか2名において軽度の不快感の増加を報告したが、両名とも2時間後のFTの再実施により不快感の低下を報告した。4週間後の追跡調査においては、すべての研究で効果の維持、または不快感の更なる軽度の低下が観察された。さらに、記憶に関する高い苦痛レベルを有していた一部参加者を対象とした18か月後の追跡調査においても、効果の維持および症状のさらなる改善が確認された。
結論:以上の知見は、FTの受容性、安全性および有効性について予備的な実証的根拠を提示するものである。したがって、より精緻な研究の実施が今後求められる。

  •  EMDRにおけるフラッシュテクニックの利用―4つの事例報告―.
     Manfield, P., Lovett, J., Engel, L., & Manfield, D. (2017). Use of the flash technique in EMDR therapy: Four case examples. Journal of EMDR Practice and Research, 11(4), 195–205. http://dx.doi.org/10.1891/1933-3196.11.4.195.


本論文は、眼球運動による脱感作と再処理法(Eye Movement Desensitization and Reprocessing: EMDR)の準備段階において用いられる新たな技法である「フラッシュテクニック:FT」を紹介するものである。FTは、従来クライエントが敬遠しがちな強いトラウマ記憶の処理を可能にすることを目的とする。臨床的観察に基づく初期的な証拠からは、FTを用いることによって、クライエントは、最初に最小限の苦痛でトラウマ記憶にアクセスできる可能性が示唆されている。その結果、感情反応の強さが軽減され、以降のEMDRによる処理がより円滑かつ包括的に進むと考えられる。さらに、この技法は年齢を問わず適用可能であり(児童を含む)、極めて負担の大きい記憶を抱える症例においても、迅速に効果を表し、かつクライアントの苦痛を軽減した介入となることが示唆されている。加えて、臨床家にとっても習得が容易である。FTは、その特徴として、極度に苦痛を伴う記憶を回避するクライアントにも、記憶を鮮明に想起することなく処理する方法を提供できることが挙げられる。論文中では、4名の異なる臨床家によって実施された4事例が簡潔に報告されている。また、今後の研究への展望が提示され、作用機序に関する仮説、および記憶の再固定化理論に基づく解釈が論じられている。眼球運動による脱感作と再処理法(EMDR)は、フランシーン・シャピロ(Shapiro, 1989)によって、当初は、単回性トラウマに起因する心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療法として開発・導入された。現在では、EMDR療法(Shapiro, 2001)は多様なトラウマ関連の心理的状態に対する有効な治療法として認識されている。EMDRの実施において、クライエントは苦痛を伴う出来事に焦点を当てつつ、現在において実施される二重注意課題を遂行する。その代表的な方法が素早い眼球運動(EM)で、それは両側性刺激(bilateral stimulation: BLS)によって促される。クライアントが臨床家の指の動きを視線で追う事により実施される。EMDRの標準的プロトコルは、クライエントの履歴聴取、準備、評価、脱感作、認知の植え付け、身体スキャン、終結、再評価の8段階から成り立つ。

  • ホームレス・シェルターにおける、非常に解離的な依存症回復者を対象としたフラッシュテクニックのグループ・プロトコル:臨床報告. 
    Wong, S-L. (2019). Flash technique group protocol for highly dissociative clients in a homeless shelter: A clinical report. Journal of EMDR Practice and Research, 13(1), 20–31. http://dx.doi.org/10.1891/1933-3196.13.1.20.

「フラッシュテクニック:FT」とは、眼球運動による脱感作と再処理法(EMDR)の準備段階で用いられる新しいプロトコルであり、EMDRの処理を行う前にトラウマ記憶の感情的強度を短時間で減少させるために実施される。本研究は、男性のシェルターにおいて、非常に解離的な依存症回復者5名を対象とした集団介入の結果を報告する。この集団介入は、ホームレスに対して手頃な価格で、トラウマに特化した支援を提供する事を意図として行われた。 インテイク面接の一環として、各参加者は30分間セラピストに個別指導を受け、トラウマ記憶を処理する為のFTの使用方法を学んだ。治療効果の評価には、短縮版PTSD評価面接(SPRINT)、解離体験尺度(DES-II)、およびベック抑うつ質問票(BDI-II)が用いられた。クライアントは、集団介入の3週間前に評価表に記入し、集団介入開始の2週間前に個別のセッションを受けた。DES-IIとBDI-IIは第8セッション開始時に再測定された。結果として、第7セッション終了時点で症状スコアの著しい低減が認められた。具体的には、DESは平均39.07(SD = 23.01)から20.48(SD = 10.02)へと減少(効果量 d = 0.81)、BDI-IIは平均32.4(SD = 11.01)から13.2(SD = 8.4)へと減少(d = 1.74)した。また、SPRINTは治療前の28(SD = 2.05)から、2週間後には15.75(SD = 5.19)へと低下(d = 6.07)した。


  • 解離性同一性障害における記憶の安全な脱感作とパーツ統合の為のフラッシュテクニック: 修正方法とリソース戦略.
    Shebini, N. (2019), Flash technique for safe desensitization of memories and fusion of parts in DID: Modifications and resourcing strategies. Frontiers of the Psychotherapy of Trauma and Dissociation. 3(2):151-164

本研究では、解離性同一性障害(DID)における極度の外傷体験、とりわけ悪魔的儀式的虐待に由来する記憶処理に対し、フラッシュテクニック(Flash Technique:FT)を適用した事例について報告する。結果としては、トラウマ記憶の脱感作と意図的なパーツの統合が認められた。FTの安全な適用に向け、重度のDIDクライエントや複雑性トラウマ症状を示す事例における修正方法を提示した。検討点として、記憶の重症度の安全な評価方法、主観的苦痛尺度(SUDS)の修正、技法適用における説明、両側性刺激の活用形態、さらに「会議室技法」の導入を扱う。臨床的実践として9事例を報告し、各事例おける異なる適用方法を示した。また、リソースの特定が困難なパーツに対しては、没頭できる活動を導入する方法を提案した。さらに、遊戯的かつ追加的なリソースを用いることでFTによる治療を強化し、その結果、トラウマ記憶処理の促進が得られることを示した。本研究は、トラウマおよび解離領域に携わる臨床家に対し、専門家としての成長やクライアントの治療に有効な技法修正や介入戦略に関する知見を提供する事を目的とする。 


  • 新型コロナ感染症によるストレスに対応する医療従事者向けのフラッシュテクニックを活用した、低強度で適用範囲の広いグループ介入の実践.
    Manfield, P., Engel, L., Greenwald, R., &amp; Bullard, D.G. (2021). Flash Technique in a Scalable Low-Intensity Group Intervention for COVID-19 Related Stress in Healthcare Providers, JEPR, May, 2021, Journal of EMDR Practice and Research, 15(2).

フラッシュ・テクニック(Flash Technique, FT)は、外傷的記憶の苦痛やトラウマ記憶を迅速かつ低強度で軽減する介入方法であり、個人及び集団に適用される。本研究は、COVID-19患者のケアに携わり心理的影響を受けた77名の医療従事者および98名の心理療法士を対象とし、FTのグループ介入を行い、安全で効果を発揮する事を示した。1時間のウェビナー形式のセッションでは、30分の心理教育に続き、パンデミックに関連した最も苦痛な記憶に焦点を当てた各15分間のFT介入を2回実施した。参加者は各15分の介入前後において、主観的苦痛尺度(Subjective Units of Disturbance: SUD)を0~10の11件法で評価した。結果、2回の介入において有意かつ大きな効果量(p < .001, Hedges’ g = 2.01, Hedges’ g = 2.39)によるSUD低下が確認され、また副作用は報告されなかった。とくに、2回の介入で同一の記憶を対象とした35名では、初回介入前から2回目終了時点までに有意かつ非常に大きな効果量を伴う低減が認められた(p < .001, Hedges’ g = 3.80)。この35名のグループでは、初回介入及び2回目の介入において大きな効果サイズで優位な低減が認められている(p < .001、Hedges’ g = 2.00) (p < .001、Hedges’ g = 1.18)。さらに58名の参加者に行った追跡調査においても、平均SUD値は継続的に減少していた。これらの結果は、FTが集団場面においても迅速かつ安全に苦痛記憶の軽減をもたらす予備的結果を示しており、今後さらなる実証的検討が必要である事を示している。


  • ワーキングメモリー及び神経科学研究に基づくフラッシュテクニック(FT)のモデル.
    Wong, S-L. (2021). A model for the Flash Technique (FT) based on working memory and neuroscience research. Journal of EMDR Practice and Research, August, 2021.

本研究は、フラッシュテクニック(Flash Technique:FT)が脳内でどのように機能するかを理解する為のモデルを提示し、実証的確認に向けた潜在的な研究の方向性を示すものである。FT では、クライエントは外傷的記憶を過度に想起することなく、ポジティブかつ没入的な焦点に注意を向けながら、セラピストの指示に従い瞬きを行う。FTにより、クライアントは、記憶の鮮明性の低下や感情反応の減弱というような、記憶の再固定化の兆候を報告する。FTの開発者は、詳細な神経メカニズムを提示していないが、本モデルでは、瞬き時に中脳水道周囲灰白質(periaqueductal gray; PAG)が作動し、外傷記憶の手がかりを捉えて反射的に扁桃体を活性化すると仮定する。Porges (2009) が提唱したニューロセプションの枠組みに基づくと、PAGは意識的処理を介さず反射的に危険を評価する機能を有する。さらに、最近のfMRI 研究はPTSD患者において扁桃体から左海馬への結合が強化されていることを示している。本モデルでは、結果として、扁桃体の活性化が次に左海馬を賦活し、それにより外傷記憶への短時間のアクセスを可能にすると考える。短時間のトラウマ記憶へのアクセスが可能だとして、その際、扁桃体が過剰反応に至る十分な時間がない。その為、クライエントは平静を保ちながら記憶に接触でき、そのことにより記憶の再固定化に必要な「予測誤差」が設定される。FTにおける繰り返す瞬きを通してこの処理は何度も実施され、場合によっては記憶の再固定化が完了する。以上の過程は理論的モデルとして提示されており、今後の実証的検証に開かれている。


  • 両側性刺激、及び誘発された瞬きなしでのフラッシュテクニックの実施:二つの事例報告.
    Wong, S.-L., & Forman-Patel, H. (2022). Doing the flash technique without bilateral stimulation and without prompted blinking: Two vignettes. Journal of EMDR Practice and Research, 16(2), 61–67. https://doi.org/10.1891/emdr-2022-0001

本論文は、両側性刺激を用いず、かつ瞬きを促すことなく実施されたフラッシュテクニック(Flash Technique: FT)の成功例について、二つの事例を報告する。FTは当初、眼球運動による脱感作と再処理療法(Eye Movement Desensitization and Reprocessing: EMDR)の準備段階において、トラウマ記憶に伴う情動的苦痛を迅速に軽減させ、その後のEMDR実施を可能にするための技法として開発された。近年提示されたFTのモデル(Wong, 2021)によれば、FTの過程においてトラウマを抱えるクライエントは、瞬き中に恐怖反応を伴わずに、反射的かつ一時的にトラウマ記憶へアクセスし得るとされる。この過程は予測誤差を生じさせるが、瞬きを繰り返す事によって記憶の再固定化やトラウマ記憶の処理につながる可能性がある。トラウマ記憶へのアクセスは反射的かつごく短時間であり、その処理はクライエント、セラピスト双方の意識の外側で進行する。この事は、FTの実施におけるセラピストおよびクライエントの経験とも一致する。Wongのモデルは、神経科学領域におけるfMRIデータや作業記憶研究の確立された概念に基づいている。ただし、このモデルは自発的で自然な瞬きに関するfMRIデータを根拠とし、両側性刺激を必要としないことを示唆している。すなわち、FTの実施は両側性刺激や瞬きの促しを伴わずとも、自発的な瞬きのみに依拠して処理が生じうることを示唆する。本研究で提示する二つの事例は、このWongのモデルの側面を支持するデータポイントを提供するものである。


  • グループにおける「フラッシュテクニック」単回セッションの効果検討. 
    Yasar, Alisan & Gundogmus, Ibrahim & Gündüz, Anil & Konuk, Emre. (2019). Investigation of the effect single session of” Flash Technique” at a group. Klinik Psikofarmakoloji Bulteni, 29, 73-73

眼球運動による脱感作と再処理(EMDR)療法は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療において現在有効な方法とされている。EMDR療法においては多様なプロトコルが開発されてきた。両側性刺激がどのように治療効果をもたらすかの神経生物学的機序は依然として十分に解明されていない。Philip Manfieldは、EMDR療法の背景に基づきフラッシュテクニック(Flash Technique: FT)を開発した。この技法は、従来のトラウマ治療におけるようにトラウマの詳細に直面する必要がなく、快適かつ効果的に利用できる実践法として提示されている。また、集団への適用も容易であるとされる。本研究の目的は、単回のFTがトラウマ症状に与える効果を検討することであった。

方法:対象は心理学専攻の大学院生および精神科研修医のボランティア17名である。すべての参加者にセッション前にPCL-5およびOlaylatin効果尺度を施行し、その後30分間のFTを実施した。さらに、1週間後および1か月後に再度同様の尺度を用いて評価を行った。

結果:単回のFT群における心理的トラウマの訴えの減少は統計的に有意であった。

結論:従来のトラウマ療法とは異なり、FTは、トラウマに直接晒される事なくトラウマを処理できると考えられており、非常に革新的な実践法である。本研究においても、集団に対して安全に、かつトラウマに関して詳細に問わず適用可能であることが示唆された。今後は、プラセボや他の治療法との効果の差異を観察するための対照研究が必要である。


  • 単回セッションによるEMDRフラッシュテクニックの集団適用がトラウマ症状に及ぼす効果.
    Yasar, Alisan & Gundogmus, Ibrahim & Gündüz, Anil & Konuk, Emre. (2021). The Effects of Single Session EMDR Flash Technique Group Application on Traumatic Symptoms. The Israel journal of psychiatry and related sciences. 58. 41-46.

序論:フラッシュテクニック(Flash Technique:FT)は、EMDR(眼球運動による脱感作と再処理)プロトコルの為に特に開発された技法である。本プロトコルにおいては、トラウマ記憶との接触は最小限に留められ、主に肯定的な記憶への焦点づけが行われる。そのため、集団療法に適している可能性がある。本研究では、EMDRにおけるFTの集団への適用がトラウマ記憶に与える効果を測定することを目的とした。

方法:研究対象は36名の参加者で構成され、この対象群に対し、90〜120分間の単回セッションによるEMDRのFTを実施した。参加者は、介入前、介入1週間後、および1か月後に、出来事インパクト尺度(IES)、DSM-5版PTSDチェックリスト(PCL-5)、および社会人口統計学的変数票によって評価された。

結果:主観的苦痛尺度(SUD)とIESの得点を、介入前(SUD=6.08±1.69, IES-R=24.52±11.57)、1週間後(SUD=3.75±1.90, IES-R=14.13±11.78)、および1か月後(SUD=2.83±2.00, IES-R=9.86±11.84)で比較した結果、統計的に有意な差が認められた(SUD: p<0.001, IES-R: p<0.001)。さらに、セッション前(24.38±17.78)と1か月後(11.44±11.06)のPCL-5得点の比較においても統計的に有意な差が認められた(p<0.001)。

結論:本研究では、適用が容易でリスクが少ないと考えられるEMDRのFTを36名の参加者から成る集団で実施し、その効果を検討した結果、トラウマ関連症状の有意な改善が認められたことを報告する。


  •  フラッシュテクニックの効果と、短縮版の眼球運動による脱感作および再処理療法(EMDR)プロトコルの効果を、嫌悪的記憶の情動性と鮮明さにおいて比較した研究.
    Brouwers, T.C., Matthijssen, S.J.M.A., de Jongh, A. (2021). The Effects of the Flash Technique Compared to Those of an Abbreviated Eye Movement Desensitization and Reprocessing Therapy Protocol on the Emotionality and Vividness of Aversive Memories. Frontiers in Psychology. 12:741163. doi: 10.3389/fpsyg.2021.741163

序論:フラッシュ技法は、不快な記憶に伴う主観的な苦痛を迅速に低減させることを目的とした新しい介入法であり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療方法としての可能性が示唆されている。このプロトコルでは、クライエントにポジティブなイメージに集中させ、標的とする不快な記憶を能動的に想起することは避けるように促す。これまでのフラッシュ技法の有効性に関する研究は有望な結果を報告しているが、統制研究は不足している。

目的:本研究では、フラッシュ技法の有効性を検討するため、その効果を短縮版の眼球運動による脱感作と再処理療法(EMDR)プロトコルと比較することを目的とした。仮説として、フラッシュ技法はEMDRと比較して、不快な自伝的記憶の情動性および鮮明さの低減においてより大きな効果を示すと想定した。また、フラッシュ技法は受け手にとってより快適な手続きとして評価されるだろうと予測した。

方法:サンプルは、不快な自伝的記憶を想起可能な60名の非臨床的参加者(平均年齢=25.28歳、女性73.33%)であった。参加者はランダムにフラッシュ技法群またはEMDR群に割り当てられた。測定は介入前後および1週間後のフォローアップで行い、記憶の情動性および鮮明さの評定を用いた。

結果:ベイズ分析の結果、フラッシュ技法とEMDRとの間で、記憶の情動性および鮮明さの低減度に差は認められなかった。その一方で、フラッシュ技法の方がEMDRよりも快適な手続きとして評価された。

結論:本研究の結果は、フラッシュ技法が不快な記憶に苦しむ個人に対する短時間で有効な介入となり得ることを支持するものである。その有効性自体はEMDRと差がないことを示唆するが、フラッシュ技法はより快適に同等の効果を得られる可能性がある。今後は、その作用機序や臨床サンプルに対する適用についてさらなる研究が求められる。


  •  交通事故を経験した個人に対するEMDRフラッシュテクニックのトラウマ症状、抑うつ、不安、ストレスおよび生活の質への効果に関するランダム化比較試験.
    Yaşar, A. B., Emre Konuk, Kavakçı, Ö., Uygun, E., Gündoğmuş, İ., Taygar Afra, S., & Uludağ, E. (2022). A Randomized-Controlled Trial of EMDR Flash Technique on Traumatic Symptoms, Depression, Anxiety, Stress, and Life of Quality With Individuals Who Have Experienced a Traffic Accident. Frontiers in Psychology, 13. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2022.845481

眼球運動による脱感作と再処理法(Eye Movement Desensitization and Reprocessing; EMDR)のフラッシュテクニック(FT)は、トラウマに関連する情動反応の影響を軽減する効果が広く認められている。本研究はランダム化比較試験(RCT)の方法論を用いて、EMDR FTの有効性を検証することを目的とした。研究の対象は交通事故を経験したボランティアであり、無作為にEMDR FT群とプライマリケア研修医へのメンタルヘルス向上研修(mhGAP)ストレス管理モジュール群に割り付けられた。参加者には、社会人口統計学的データフォーム、抑うつ・不安・ストレス尺度21(DASS-21)、出来事インパクト尺度改訂版(IES-R)、およびWHO-QOL生活の質尺度が施行された。評価は介入前後および1か月後のフォローアップで実施された。
参加者の平均年齢は36.20歳(SD = 11.41)、そのうち女性は82.1%(n=32)であった。統計的検証の結果、EMDR FT群は、DASS-21の不安(η² = 0.085)、IES-Rの侵入(η² = 0.101)、回避(η² = 0.124)、総合得点(η² = 0.147)、およびWHOQOL-BREF心理的領域(η² = 0.106)において、有意な改善がmhGAP群と比較して示された。一方で、DASS-21の抑うつ・ストレス、IES-R過覚醒、WHOQOL-BREFの全般的健康、身体的領域、社会的関係、環境領域については、両群間に統計的に有意な差は認められなかった。
以上の結果から、交通事故を経験した者に対してEMDR FTを適用すると、少なくとも1か月の期間にわたり、不安、侵入、回避、総合的な外傷後ストレス症状および心理的生活の質において有効であることが明らかになった。本研究の知見は、臨床的無作為化比較試験として初めて検討されたEMDR FTの信頼性と臨床応用可能性を高めるものであると考えられる。


  • 苦痛を伴う記憶に対する眼球運動による脱感作と再処理法(EMDR)の臨床評価:二重盲検ランダム化比較試験のプロトコル.
  • Babaei, N., Kerry, C., Goode, K., Dang, K., Mirzadeh, P., Pirbaglou, M., Kirk, M. A., & Ritvo, P. (2023). Clinical assessment of eye movement desensitization and reprocessing in memory distress: Protocol for a double-blinded randomized controlled trial. JMIR Research Protocols, 12. https://doi.org/10.2196/38552

背景: 「トラウマ的」出来事への曝露は広くみられ、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を引き起こす可能性がある。認知行動療法(CBT)や眼球運動による脱感作と再処理法(EMDR)は、PTSD治療として頻繁に用いられ、その有効性も実証されている。効果が実証されているにもかかわらず、治療中にはしばしば強い苦痛を伴う記憶反応が引き起こされ、これが大きな苦痛や治療からの脱落につながることがある。治療プロセスが進んでいる間、トラウマへの苦痛を伴う記憶反応を軽減する事を目的とした治療的アプローチが、近年、多数開発されている。その中の一つであるフラッシュテクニック(FT)は、標準的なEMDR(S-EMDR)の修正版であり、苦痛な記憶の軽減に有効である可能性が示唆されている。本研究では、ウェブ動画を用いたFT-EMDRおよびS-EMDRの有効性について検討する。

目的: 本研究の目的は、トラウマ記憶に関連するPTSD症状、不安、抑うつに対して、ウェブベースで実施されるFT-EMDRとS-EMDRの有効性を、介入後および1か月後のフォローアップ時点で比較評価することである。

方法: 本研究は、二重盲検のウェブベース二群ランダム化比較試験であり、自己記入式アウトカム指標を用いる。参加者はクラウド上のリサーチプラットフォームより計90名を募集し、無作為に実験群または比較群へ割りあてられる。主な選択基準は以下の通り:(1) クラウド上のリサーチプラットフォームによる参加承認、(2) 25~60歳、(3) カナダまたは米国在住、(4) 2年以上前に一度だけ生じた、出来事当時中等度かそれ以上の苦痛を感じた記憶があること、(5) 基準時点で当該記憶が中等度以上苦痛であり、より以前の同等もしくはそれ以上苦痛を伴う記憶と関連していないこと。除外基準は双極性障害、境界性パーソナリティ障害、強迫性神経症、統合失調症、過去3か月以内の物質乱用・依存、6か月以内の自殺念慮または自殺企図である。介入は、FTまたはEMDRのガイド付きビデオ指導を用いて行う。
主要アウトカムは、1か月フォローアップ時点におけるPTSD症状(DSM-5版によるPTSDチェックリスト測定)である。副次的アウトカムは、状態ー特性不安検査の状態不安サブスケール(ベースライン・介入後・1か月フォローアップ)、特性不安サブスケール、抑うつ(PHQ-9)、および1か月後フォローアップ時のポジティブ・ネガティブ感情尺度である。

結果: もし1か月フォローアップ時点において、ウェブベースのFT-EMDR介入がEMDRよりPTSD症状(DSM-5版によるPTSDチェックリスト測定)の軽減効果が大きければ、多様な状況下でトラウマ記憶による苦痛の緩和に寄与する可能性がある。
結論: 本ランダム化比較試験は、トラウマ記憶関連の苦痛に着目したPTSD症状およびその介入に関する知見の発展に貢献するものである。


  •  試験不安を抱える青年に対するフラッシュテクニックの単回効果の検討―集団実践によるアプローチ. Avci, M. (2023). Investigation of the single session effect of flash technique on adolescents with exam anxiety: A group practice. Uluslararası Anadolu Sosyal Bilimler Dergisi, 7(1), 222–231. https://doi.org/10.47525/ulasbid.1239585

フラッシュテクニック(FT)は、特別に開発されたEMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)プロトコルである。本研究は、試験不安のある青年に対するEMDRのFTを適用した場合の効果を検討することを目的とした。具体的には、FTグループの適用が思春期の生徒における試験不安に及ぼす影響を明らかにするために実施された。研究デザインとしては、量的研究法を用い、テスト前―介入―テスト後―フォローアップテストを比較する比較群実験デザインが採用された。測定には、「子ども用抑うつ尺度」、「子ども・青年用心的外傷反応尺度」、および「試験不安尺度」が用いられた。データ分析の結果、FTは思春期の生徒の試験不安レベルに統計的に有意な効果を示した(F(1.65–64.52) = 185.56, p < .05, η² = .826)。これは、試験不安水準の変動の約83%がFTによって説明できることを意味する。さらに、FTは思春期の生徒の抑うつレベルにおいても統計的に有意な効果を持つことが確認された(F(1.35–52.47) = 48.57, p < .05, η² = .555)。この結果は、思春期の生徒の抑うつレベルの変動の約56%がFTによって説明されることを示している。最後に、FTは心的外傷後反応レベルに対しても統計的に有意な効果を示した(F(2–78) = 83.26, p < .05, η² = .681)。すなわち、思春期の生徒の心的外傷後反応レベルの変動の約68%がFTによって説明できることが明らかとなった。これらの結果から、FTは思春期の試験不安、心的外傷後ストレス反応、および抑うつ水準を低減させる上で有効な心理的介入技法であることが示された。


  • 神経性皮膚炎に対する新たな心理療法的アプローチ:フラッシュEMDR技法.
  • Avci, M., & Akbağ, G. (2023, June 4). A New Psychotherapy Approach for Norödermatit (Nerve Eczema): Flash Emdr Technique. 5th International Congress on Multidisciplinary Social Sciences. https://www.researchgate.net/publication/371280794_A_New_Psychotherapy_Approach_for_Norodermatit_Nerve_Eczema_Flash_Emdr_Technique

フラッシュテクニック(FT)は、トラウマ体験に起因する低強度から高強度の苦痛記憶の強度を軽減するための、迅速かつ比較的苦痛の少ない方法である。この技法は、トラウマ記憶にアクセスすることに極度の不安を示すクライアント、アクセス中に解離が生じるクライアント、感情的に圧倒される、またはトラウマ記憶にアクセスすることに抵抗を示すクライアントに対して適用可能である。FTの目的は、対象となる記憶関連の障害に短時間(約10秒)さらすことで記憶の処理を図る事にある。従来のトラウマ療法とは異なり、FTはクライアントがトラウマ記憶に意識的に関与する必要がない、最小限の侵襲性を特徴とする方法である。つまり、トラウマ記憶を再処理することで、迅速かつ比較的苦痛の少ない方法でトラウマ記憶を軽減する介入法である。現在では、この技法がうつ病、トラウマ、悲嘆などの心理的障害の治療に有効である事が知られている。この観点から、敏感な部位や目立つ身体部位に皮膚病変があることで高い心理的苦痛を呈する患者において、皮膚疾患における心理的併存症の有病率に対する認識の重要性が高まっている。本研究の目的は、神経性皮膚炎(神経性湿疹)を有する患者を対象に、心理的症状からくる身体化およびうつ症状の改善に対するフラッシュEMDR技法の有効性を検討することである。研究の対象となったのは、5歳時に様々な児童期のトラウマを経験し、約2年前に神経性湿疹と診断された現在20歳のクライアントである。治療開始前に、心理症状尺度(SCL-90)とベックうつ病尺度を実施した。両親の離婚をきっかけに始まった問題は、その後、様々な時期にネグレクトや虐待を受ける事に繋がった。困難な幼少期と青年期を経て大学進学後、強い喪失感、不眠、摂食障害、悲哀、内向性、社会的引きこもりなどの問題を呈するようになった。これらの心理的問題に加え、過去2年間、腰から足先にかけて持続的な搔痒と出血を伴う皮膚病変が発生した。医師に受診し、神経性湿疹と診断され、2年間「アレルセット」を内服したが、改善がみられず、心理療法を希望し、セラピーを開始した。クライアントとの2回の問診セッションの後、3回目のセッション(約20分)でフラッシュEMDR技法を実施した。テクニックの施行前、施行2週間後、施行5か月後にそれぞれ心理的評価を行った。前検査では、身体化得点2.25(低レベル)、うつ病得点43(重度)であった。施行後2週間の検査では、身体化得点0.75(問題なし)、うつ病得点25(中程度)、5か月後のフォローアップ検査では、身体化得点0.25(問題なし)、うつ病得点8(最小限)といずれもスケール得点の大幅な低下が認められた。さらに、心理療法開始前後に身体病変を写真撮影し、経過観察の結果、治療後は皮膚病変が完全に治癒していることが確認された。また、心理療法開始後、クライアントは医薬品などを一切使用していない。

考察と結論: 本研究の結果から、フラッシュEMDR技法は神経性湿疹の回復および身体化・抑うつ症状の軽減に有効であることが示唆された。得られた結果に基づき、本技法はクライアントを長時間トラウマに暴露することなく、短時間(20分程度)の介入で完了できる、効果的な介入方法であると言える。


  •  逆境におけるトラウマおよびストレス軽減のためのAIPモデルに基づいた専門的介入プログラム:エチオピアにおける集団パイロット研究.
  • Woldemariam S, Ashman D, Carvalho E, Wong S-L and Hoersting R (2024). AIP-based Professional Intervention Program for Adversity for trauma and stress reduction in groups: a pilot study in Ethiopia. Front. Psychiatry 15:1351713. doi: 10.3389/fpsyt.2024.1351713

序文:本研究は、EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)療法およびAIP(適応的情報処理)モデルの原理に基づき開発された「逆境に対する専門的介入プログラム(PIPA)」を紹介する。PIPAは、低強度のグループ演習を包括的枠組みの中に統合することで、集団療法のための統合的な介入を目的としている。プログラムには、EMDR療法の要素—安定化、リソーシング、脱感作、再処理、自己および未来に関する信念の形成—が体系的に組み込まれている。その構造には、自己調整エクササイズ、「人生の柱(Pillars of Life)」、フラッシュテクニック(FT)、およびクアドラント演習が含まれている。
方法:本プログラムは、2020年から2022年の2年間にわたるエチオピア内戦により高いトラウマ曝露の可能性がある220名以上の参加者に実施された。
結果:PIPAプログラム全体を完了した後、PTSD症状における有意な改善がPCL-5得点において認められた(平均値は M = 38.58 から M = 20.59 へ減少)。さらに、PIPAの構成要素であるFTおよびクアドラント演習でも有意に低いSUDS得点が示された

考察:将来的な研究課題として、PIPAプログラムの長期的効果や、多様な治療的文脈への応用可能性を検討する必要がある。本研究の結果は、PIPAプログラムが集団のトラウマ治療として有望であり、安全かつ効果的であることを示している。特に非臨床的場面や文化的に多様な集団においても適用可能性が高いと考えられる。


  •  免許未取得の学生臨床家による低強度フラッシュテクニックを使ったトラウマ介入に関する研究. Gustavson, K., Wong, S.-L., & Le, D. (2023). Research on Low-Intensity Flash Technique Trauma Intervention by Prelicensed Student Clinicians. Journal of EMDR Practice and Research, 17(2), 54–69. https://doi.org/10.1891/EMDR-2022-0059

世界中で何千万もの人々がトラウマを経験している一方で、トラウマ治療を提供できる心理療法士の数は十分とは言えない。眼球運動による脱感作と再処理法(EMDR)は有効性が確認されたトラウマ治療法であるが、その訓練には相当な時間的・経済的資源を要する。ひとつの解決策として、参加者が独立して苦痛記憶に取り組めるよう、厳密に構造化された指示に基づいたフラッシュテクニック(FT)を用いた低強度の個別オンライン介入が考えられる。FTはもともとEMDRの準備段階で開発されたプロトコルであり、数時間の訓練によって実施可能である。本研究の目的は、経験に乏しい学生臨床家によって台本化されたFTプロトコルが有効となり得るかを検討することである。社会福祉学修士課程の学生9名が、FTの訓練を受け、有資格臨床家の監督下で、台本化されたプロトコルを用いたオンライン個別FT介入を実施した。参加者は、改訂出来事インパクト尺度(IES-R)のスコアが24点を超える者に限定された。30名の参加者はそれぞれ6回の個別セッションを受け、治療前後に質問票が収集された。追跡調査データは収集されなかった。IES-Rの平均値は、介入前の45.97(SD = 14.5, 95% CI = [40.78, 51.16])から介入後の25.33(SD = 14.92, 95% CI = [19.99, 30.67])へと有意に低下し(p < .00001)、効果量はCohen’s d = 1.4と大きな効果が示された。
しかし、本研究には対照群が設けられていないこと、またサンプルサイズが相対的に小さい(n = 30)という限界がある。さらに、介入後の経過について追跡調査を行っていないため、その効果の持続性は不明である。それにもかかわらず、本研究結果は、台本化されたFTプロトコルが経験の浅い学生臨床家によっても用いることが可能であることを示唆しており、低強度外傷介入の手段としての実用性を切り開く可能性がある。


  •  思春期の抑うつ症状に対するEMDRフラッシュテクニックの効果:12週間の追跡研究. 
  • Inci Izmir, S. B., & Çitil Akyol, C. (2024). EMDR Flash Technique in adolescents with depression: A twelve-week follow-up study. Clinical Child Psychology and Psychiatry, 13591045241247701. https://doi.org/10.1177/13591045241247701

本研究は、思春期の抑うつに対するEMDRフラッシュテクニック(FT)の特異的効果を検討することを目的とする。対象は12~17歳(平均年齢=14.34歳, SD=1.56)の青少年32名(男子7名、女子25名)であった。評価には、児童青年期用構造化面接法である学童期児童を対象とした情緒障害及び統合失調症面接(K-SADS)、ベックの抑うつ質問票(BDI)、および子供用改訂版出来事インパクト尺度短縮版8項目(CRIES-8)を用いた。これらは介入前、治療後4週間および12週時点で実施された。
EMDR FTは、強い苦痛を伴う記憶の想起に伴う情動的強度を迅速かつ比較的苦痛なく低減できる技法であり、通常は、眼球運動を伴う脱感作と再処理(EMDR)の準備段階で活用される。本研究では独立した介入法として週1回・計12週間にわたり適用された。また、本技法は思春期における治療の不遵守やドロップアウトの減少にも寄与しうると考えられる。結果として、BDIの総得点平均は介入前の48.19から、12週後には2.16へと有意に低下した。同様に、CRIESの平均得点も介入前の31.78から12週後には0.44へと減少した。さらに、主観的苦痛尺度(SUD)得点は介入前の平均9.53から完全にゼロへと低下した。これらの結果は、EMDR FTが思春期の抑うつ症状に対して効果的であることを示唆している。


  •  フラッシュ・テクニックが児童期トラウマ、解離、そして心的外傷後ストレス症状に及ぼす影響:6つの事例報告.
  • Avcı, M. (2023). The Effect of the Flash Technique on Childhood Traumas, Dissociation, and Post-Traumatic Stress Symptoms: Six Case Series. International Journal of Health Sciences, 11(1), 102-112. https://www.researchgate.net/publication/374556625_The_Effect_of_the_Flash_Technique_on_Childhood_Traumas_Dissociation_and_Post-Traumatic_Stress_Symptoms_Six_Case_Series


フラッシュテクニック(FT)は、低強度の個人または集団介入であり、苦痛を伴うトラウマ記憶に関連する苦悩を迅速に軽減することが示されている。そのため、本研究の目的は、FTが児童期トラウマ、解離症状、ならびに心的外傷後ストレス症状に及ぼす効果を検証することであった。研究には量的研究法が用いられ、準実験デザインの一つである単一群プレテスト・ポストテスト対照群デザインが採用された。評価尺度として、児童期トラウマ尺度、PTSDチェックリスト尺度、解離質問紙(DIS-Q)が使用された。本研究は6事例からなる個別介入の実践研究である。介入時間はクライエントの問題の強度に応じて異なったが、一般的に一つの記憶に対する介入は平均35〜55分であった。他の治療アプローチと比較すると、この所要時間は短いといえる。研究参加者数が非常に少なかったため、測定値間の差異を検証する際にはノンパラメトリック検定であるフリードマン検定が使用された。この繰り返し測定の分析は、一要因分散分析の非パラメトリック版に相当するものである。得られたデータの分析の結果、大学生の解離レベル(χ²(2) = 10.33, p < .05)、児童期トラウマ症状(χ²(2) = 12.00, p < .05)、および心的外傷後ストレス症状(χ²(2) = 12.00, p < .05)において有意な効果が認められた。これにより、FTは大学生における解離レベル、児童期トラウマ症状、そして心的外傷後ストレス症状を軽減または改善する効果的な技法であることが明らかになった。


  •  早期メンタルヘルス介入が地震トラウマを有する個人の外傷後ストレス、不安、抑うつ症状に及ぼす効果:ランダム化比較試験.
  • Yasar, A. & Gundogmus, I. & Kubilay, D. & Yurtsever, A. & Uygun, E. & Demirci, H. & Atçeken, Ş. & Akyüz, T. & Çiftçi, Z. & Epözdemir, H. & Çetinkaya, M. & Tunca, G. & Kınık, Ç. & Konuk, E. (2024). Effect of the Early Mental Health Intervention on Traumatic Stress, Anxiety, and Depressive Symptoms of Individuals with Earthquake Trauma: Randomized-Controlled Design. 10.13140/RG.2.2.32321.77920.

方法: 本研究はランダム化比較試験デザインによって行われた。2023年ウルファ・カフラマンマラシュ・ハタイ地震の被災者を対象に告知を行い、465名が参加を希望した。除外基準により33名が、非同意等により13名が、又そのほかの理由で9名が除外され、最終的に410名が研究対象となった。

参加者は「EMDRフラッシュテクニック群(EMDR FT)」と「統制群」に分けられ、社会人口学的データ用紙、DSM5のPTSDチェックリスト(PCL-5)、抑うつ不安ストレス尺度(DASS-21)が施行された。介入群にはオンラインにて集団形式のEMDR FTが実施され、107名が3日連続のセッションを完了した(98名が移転、技術的設備の欠如、身体的不適応等により完遂出来なかった)。介入は経験10年以上の心理療法士によって実施され、地震発生から30日以内に終了した。3か月の追跡調査にて、PCL-5とDASS-21を再施行した。
結論: 本研究の主要な発見は、余震が継続中であってもEMDR FTを早期に適用することで、トラウマ及びトラウマ関連障害、うつ病性障害、不安障害に対し予防的・防護的効果が得られる点である。先行研究における傾向としては、外傷的出来事後の初期段階に実施された介入の多くは、有効性を示さなかった。その一方で、逆の結果を示唆する研究も存在するが、それらの結果は弱い傾向がある。本研究はその傾向に反し、早期介入により将来的なトラウマに関する症状発展を防げることを示した。この研究の結果は、外傷性出来事に暴露した個人の早期発見と評価、そして必要に応じた早期心理的介入の提供に対して強力な証拠を示している。しかしながら、より多様な介入法を開発する為には、更なる研究が必要である。


  •  EMDRフラッシュテクニックによる人種的トラウマへの介入と家族機能の影響の検討.
  • Hung, Y.-H. (2023, December). (dissertation). Examining the EMDR Flash Technique on Racial Trauma and Incorporating Family Functioning. Retrieved from https://ttu-ir.tdl.org/items/e812bc44-d0b4-4429-9627-b7c9c6a3d6c5/full.

概要: 本研究は、人種的トラウマの深刻な心理的影響に対処するため、自己施行型EMDRフラッシュテクニック(EMDR-FT)の人種的トラウマ記憶への有効性を検証し、さらに家族機能の役割を探索した。2023年の夏に、参加者は主観的苦痛尺度(SUDs)を測定し、効果判定にはANOVAを用い、家族機能の寄与については重回帰分析を実施した。結果として、EMDR-FTはトラウマ記憶に関連する苦痛感の低減に有望であることが示されたが、家族ダイナミクスの影響については明確な結論には至らなかった。これ等の結果は、結婚家族療法士に人種的トラウマの治療に関して新たな手法を提供するとともに、自己施行型の治療方法の可能性を強調するものである。全体として、当該研究は、人種的トラウマ治療における新しい見解を提供するものであり、治療実践におけるEMDR-FTの重要性と将来的な更なる研究を強調するものである。


  •  フラッシュテクニックの有効性をポジティブ感情の拡張形成理論で説明する.
  • Perez-Strumolo, L. (2024). The Effectiveness of the Flash Technique Is Explained by the Broaden-and-build Theory of Positive Emotion. Journal of EMDR Practice and Research. https://spj.science.org/doi/epdf/10.1891/EMDR-2024-0015

概要: フラッシュテクニック(FT)は、眼球運動による脱感作と再処理(EMDR)の準備段階において苦痛や交感神経系の過覚醒を大幅に軽減し、治療的処理を実践しやすくし、場合によっては症状の自発的な解消をも促すとされる。本研究は、FTの有効性の理論的基盤としてポジティブ感情の「拡張構築理論」を提示した。FTは心地よい注意の持続によりポジティブ感情を喚起する。トラウマ的記憶を感情的に距離を置いた状態で想起した後に、FT中に体験するポジティブ感情は、認知機能に拡張的に効果を及ぼし、それが認知的柔軟性を広げ、情報統合を促進することで、外傷記憶の適応的再処理を促し苦痛を減少させ、自然と適応的な発達を遂げると説明できる。


  •  フラッシュテクニックが青年期のテスト不安に及ぼす影響の検討.
  • Akyol, CÇ., Inci Izmir, S. B. (2025). Exploring the impact of Flash technique on test anxiety among adolescents. Clinical Child Psychology and Psychiatry. 2025;0(0). doi:10.1177/13591045251329437

要旨:本研究は、フラッシュテクニック(FT)が試験不安を有する青年期の生徒に及ぼす特異的効果を検討することを目的とした追跡研究である。本研究の対象は14~17歳の青年38名(平均年齢 = 15.39, SD = 1.13)であった。介入前後の評価には、試験不安検査(TAI)、不安がパフォーマンスに否定的影響を及ぼす態度尺度I(POET)、およびベック不安質問票(BAI)が用いられ、ベースライン、介入開始4週間後、および12週間後時点で測定を行った。FTは12週間にわたり、週1回実施された。介入の結果、BAIの総得点平均は25.26から2.18へ、TAIは149.79から39.13へ、POETは298.47から73.84へとそれぞれ有意に低下した。また、主観的苦痛尺度(SUD)スコアもベースラインの9.42から、治療終了時点で0にまで減少した。すべての青年が12週終了時点で完全な改善を示した。以上の結果から、FTは青年期における試験不安の症状を有意に低減させる効果的な介入法であることが明らかになった。

平易な要約:試験不安とは、試験や評価の場面における失敗の可能性に起因して生じる否定的な思考、感情、身体反応の集合である。青年期は認知的・心理社会的・感情的発達が大きく変化する時期であり、この時期における試験不安は特に重要な意味を持つ。試験不安には情動・身体的側面と認知的側面の二因子構造があることが知られている。加えて、試験不安が持続する場合、不眠、抑うつ、突然泣き出す、摂食障害などの二次的問題を引き起こす可能性があり、場合によっては自傷や自殺念慮にまで至ることがある。また、親の受容や統制、ロールモデリングは子どもの不安症状と関連することが示唆されている。試験不安には過去の失敗経験や成績に関する恐怖など、トラウマ的な痕跡が含まれている場合もある。このような文脈において、EMDRは個人の過去の失敗に関する非合理的信念を再処理し、より適応的で肯定的な信念を形成する助けとなると考えられる。実際、EMDRは否定的な思考、身体感覚、感情を扱うことで試験不安に良い影響を及ぼすとされている。近年注目されている新しいトラウマ関連介入のひとつにフラッシュテクニック(FT)がある。FTは当初、EMDRの準備段階を補完する目的で開発されたが、現在では独立したトラウマ療法として発展してきている。FTは記憶に伴う苦痛を迅速に軽減する方法である。本研究では、FTの試験不安に及ぼす特異的効果を検討した。その結果、青年の試験不安は著しく改善し、トラウマ関連事象の影響も低下した。総じて、12週間にわたるFT介入は青年期の試験不安に対して有効であることが明らかとなった。


  •   地震被災地域におけるメンタルヘルス従事者の二次的外傷ストレスを軽減する単回集団フラッシュテクニックの介入.
  • Kınık, Ç., Tütünen, C., & Erdin, B. (2025). A single-session flash technique group intervention to reduce secondary traumatic stress among mental health workers in earthquake-affected areas. Turkish Journal of Traumatic Stress, 1(2), 89–97. https://doi.org/10.63175/tjts.17

抄録:背景:自然災害により大規模な集団的トラウマが生じた際、被災地で活動する医療従事者や支援者は、他者のトラウマ体験に曝露されることにより、二次的外傷性ストレスや燃え尽き症候群のリスクが高まる。その結果、精神的健康や専門的機能の低下につながる可能性がある。本研究では、トラウマ的ストレスレベルの低減を目的として、カフラマンマラシュ地震被災地で活動する専門職に対し、単回セッションによる眼球運動による脱感作と再処理のフラッシュテクニック(EMDR FT)を用いた集団介入の有効性を検討した。
方法:マラティアおよびアドゥヤマンの仮設住宅(コンテナシティ)に従事するトラウマ支援者13名(平均年齢=27.8歳, SD=±2.1)を対象とした。90分間のフラッシュ集団プロトコルを実施し、介入前後に参加者が想起したトラウマ的場面に対する主観的ストレス強度を主観的苦痛尺度(SUD)で測定した。

結果:セッション冒頭に参加者が選択した3つのトラウマ体験に対するSUD評定値の平均と標準偏差(事象1=8.7±1.1,事象2=7.5±1.2,事象3=6.2±1.3)は、介入終了時に有意に低下した(それぞれ0.38±0.50,0.15±0.37,0.07±0.27)。また、全参加者が「解放感」「感情的距離の獲得」「リラクゼーション感」などのポジティブな変化を言語的に表明した。
結論:本研究は、EMDR FTが震災被災地で活動する専門職の二次的トラウマ症状を軽減する有効な方法となり得ることを示した。迅速かつ集団形式で実施可能である点は、EMDR FTが災害後の心理社会的支援プロセスにおける実用性を高めると考えられる。


  • 入国時点の移民に対する低強度介入としてのフラッシュテクニックの有効性.
  • Yznaga, S., Wong, S., and Maniss, S. (2025). The Flash Technique as an Effective Low-Intensity Intervention for Migrants at the Point of Entry (2025).  Journal of EMDR Practice and Research. DOI: 10.34133/jemdr.0009

概要: 移民は渡航前や渡航中に深刻なトラウマを経験し、急性ストレスやPTSD等の精神的健康の困難を発症するリスクが高い。本研究では、入国直後の移民55名に対し、研修を受けた医療従事者12名と研修生11名がFTを1回実施した。介入後、SUD得点は大幅に改善を示した。
結論: フラッシュテクニックは人道的文脈における低強度介入として有効であり、移民の長期的な心理的影響を軽減する可能性を持つ。

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